2030年エネルギーミックスのヒアリング始まる。届け! 発電事業者の声(太陽光発電編)
2021/03/23
2050年カーボンニュートラルを実現するには、2030年のエネルギーミックスは重要な位置づけだ。資源エネルギー庁はエネルギーミックスの見直しに向け、各事業者へのヒアリングをスタートした。3月12日の委員会では、3社・1団体が意見を述べた。
太陽光業界から4者が参加
導入拡大のブーストが急務
資源エネルギー庁は、2030年のエネルギーミックス(電源構成)の見直しにあたり、各事業者へのヒアリングを開始した。3月12日の第27回・再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会では、太陽光発電事業者を中心としたヒアリングが実施され、一般社団法人 再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)、自然電力株式会社、千葉エコ・エネルギー株式会社、パシフィコ・エナジー株式会社の4者が登壇した。
REASPは2050年カーボンニュートラルの達成に向け、バックキャストして2030年のエネルギーミックスを考えることが重要だとした。そのうえで、2030年の太陽光発電の導入量は135GW程度を目指すべきとした。また、近年のFIT入札量が募集容量を下回っていることを指摘し、導入ペースの急激な増加が必須であると主張した。
なお、REASPとは、発電事業者や金融・投資インフラ法人を中心とする70社によって構成された業界横断的な団体だ。ENEOS株式会社、東急不動産株式会社、東京ガス株式会社、オリックス株式会社、リニューアブル・ジャパン株式会社の5社が理事会社を務め、再エネの導入拡大に向けてさまざまな働きかけを行っている。(参考『東京ガスら5社「再生可能エネルギー長期安定電源推進協会」創設、再エネの主力電源化に向け存在感高める』)
システム費用の低減に加え
適切な法整備の確立も要望
一方、自然電力株式会社は、第5次エネルギー基本計画に掲げる「3E(エネルギーの安定供給・経済効率性の向上・環境への適合)」を同時に実現する方法として変動性再エネ(VRE)を「①安くする ②増やす ③需給調整する」ことが必要とした。そのためには、発電量あたりのコストであるLCOEを1kWhあたり8円以下とするべきと主張している。
ソーラーシェアリングに力を入れる千葉エコ・エネルギー株式会社は、国内の農地440万haを活用できればソーラーシェアリングのポテンシャルは高いとし、適切な規制の整備と判断基準の確立を求めた。
全国で1,293MWの太陽光発電事業を手掛けるパシフィコ・エナジー株式会社は、太陽光発電の導入を阻む最大の要因はシステム費用の高止まりであり、造成・設置などの工事費用が上昇しているとした。ハードウェアだけでなく、工事費用を含めたシステム費用全体の低減の必要性を訴えた。
DATA
第27回 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会
文:山下幸恵(office SOTO)