政策・マーケット

上海モーターショー特別レポート! 突出する中国と迷走する日本!(後編)

EV化が進み、勢いのある中国に比べ、日本メーカーはどうだろうか。4月16・17の両日、上海モーターショーを見学した、環境経営コンサルタントの村沢義久氏による連載コラム第6回(後編)。

前回記事:上海モーターショー特別レポート! 突出する中国と迷走する日本!(前編)

迷走続けるトヨタ
HVとFCVでガラパゴス化

中国勢の圧倒的なパワーと対照的に、日本メーカーの勢いのなさは情けないばかりだ。トヨタの展示場も予想通り活気がなく、EV時代における存在感の薄さを痛感した。

世界の自動車産業がEV100%に向かう中、トヨタは迷走を続けている。トヨタは4月3日、HV技術の特許(2万3740件)を無償で提供すると発表した。

背景には、中国やカリフォルニアでHVがエコカーから外され、EV化の波に乗り遅れたトヨタの大きなあせりがある。トヨタは、HVでは技術的にも、販売実績でもダントツだ。他社がまねできないような高度な技術で世界制覇を狙ったが、逆に孤立化してしまった。

だからその技術を開放することにより、仲間を増やそうという意図だが、空振りに終わるだろう。HVはガソリンエンジンとモーターを使用するが、エネルギー源としては100%ガソリンに頼っている。すなわち、「燃費の良いガソリン車」でしかない。EV化が加速するなか、世界の自動車産業がHVに「逆戻り」することはないのだ。

トヨタは2015年1月にはFCV関連の特許も無償公開している。やはり、FCV仲間を増やそうとの意図だったが、成果はあがっていない。中国、アメリカ、ヨーロッパがFCV推進に動かず、トヨタは孤立したままだ。そのため、昨年の北京でも今年の上海でも「MIRAI」の展示はしなかった。

トヨタは、上海モーターショーでようやく新型EVである「C-HR」と「IZOA」を公開したが、販売開始は来年からで、今年から始まった中国の新エネルギー車法施行には間に合わなかった。この出遅れを取り戻すのは容易ではない。

大手メーカーの苦戦
テスラに惨敗のGM

日本勢だけではなく、EV時代には老舗メーカーが軒並み苦労している。その好例がGM(シボレー)の「Bolt(ボルトEV)」対テスラ「モデル3」の争いだ。

GMは2016年末に、「ボルトEV」を発売し、「モデル3キラー」と位置付けた。モータージャーナリスト達も「GMが本気になると強い」と予想した。

しかし、結果は「キラー」どころか惨敗。2018年のアメリカ国内での販売台数で比較してみると、売り上げ台数わずか18,019台で、139,782台売れて1位(世界販売台数でもダントツ1位)になった「モデル3」の8分の1だった。

老舗の中で健闘しているのが日産で、「リーフ」は世界3位と頑張ったが、台数的には「モデル3」の6割程度にとどまった。多くのユーザーは、EVを、単なる「エコカー」としてではなく、全く新しい商品と見ている。そういう時代に老舗ブランドは通用しないようだ。

自動車の全面的EV化はもはや既定路線。ベンチャーの育っていない日本の自動車産業にとっては、既存メーカーの衰退はそのまま自動車産業自体の崩壊につながる。トヨタだけで売り上げ30兆円。「EV戦争」に敗北すれば、その影響は自動車産業の枠を超えて、日本経済全体に広がることになるだろう。

プロフィール

環境経営コンサルタント(合同会社 Xパワー代表)

村沢義久


東京大学工学修士。スタンフォード大学MBA。経営コンサルティング会社日本代表、ゴールドマンサックス証券バイスプレジデント(M&A担当)などを歴任の後、2005年から2010年まで東京大学特任教授。2010年から2013年3月まで同大学総長室アドバイザー。2013年4月から2016年3月まで立命館大学大学院客員教授。現在の活動の中心は太陽光発電と電気自動車の推進。Twitterは@murasawa。

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