蓄電池ビジネスを揺さぶる3大変革の全貌③ ~JC-STAR要件化の広がり~
2026/06/12
2026年春、日本の蓄電池市場の制度が一変した。小規模リソース参入の追い風と、取引ルールの厳格化やセキュリティ要件化といった逆風が同時に吹く中、事業者の戦略的判断が問われている。2027年度以降、JC-STAR★1取得が系統接続や市場参入の要件になっていく。機器選定はJC-STAR適合を前提としたものへと転換が進んでいる。
JC-STAR制度と
サイバーセキュリティ

出典:経済産業省資源エネルギー庁
蓄電池や太陽光発電の分野では、これまで必ずしも重視されてこなかったサイバーセキュリティが、制度上の要件として明確に位置づけられるようになってきた。その中核にあるのが、JC-STAR(セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度)である。
JC-STARは、経済産業省が策定した制度構築方針に基づき整備されたIoT製品向けのセキュリティ評価制度であり、インターネットに接続される機器を対象に、製品が備えるセキュリティ機能を共通の基準で評価・可視化する仕組みである。
本制度では、求められるセキュリティ水準に応じて★1から★4までの段階が設けられている。しかし蓄電池に関して、現時点で実際に運用されているのは最低限の基準に相当する★1である。★2以上の基準については整備拡張が進められている段階にあり、制度全体としては発展途上にある。
JC-STARは当初、調達時の参考情報と位置づけられていたが、現在では制度的な要件として組み込まれつつある。JC-STARは単なるラベリング制度ではなく、電力インフラに接続される機器の前提条件として機能し始めている。2027年度以降は、電力ビジネスにおける実質的な参入条件ともなっていく。
JC STAR★1取得が
系統接続の要件に

経済産業省は、電源が系統に接続する際に遵守すべき技術要件である「グリッドコード(系統連系技術要件)」の見直しの中で、太陽光発電および蓄電池に対するサイバーセキュリティの強化方針を示している。
具体的には、2027年4月以降に新規に系統に接続される太陽光発電・蓄電池について、通信機能を有する制御システム(PCS、EMS等)に対し、JC-STAR★1を取得した製品の使用を必須とする方向で制度設計が進められている。
これはグリッドコードの段階的整備の中で、2030年度目標の本格的な要件化を待たずに先行して導入される追加要件に位置づけられる。対象となる機器の範囲は「通信機能を有する制御システム(PCS、EMS等)」と整理されており、PCSについては対象が比較的明確である一方、EMSの具体的な範囲については制度上の整理が継続している。
2027年4月以降は、要件未対応の機器では原則として新規接続が認められない。なお、低圧系統設備(小規模設備)については、流通在庫への配慮から半年程度の経過措置が設けられ、適用開始は2027年10月とされている。
脱炭素オークションの
応札にも求められる
長期脱炭素電源オークションにおいても、太陽光・蓄電池に関するJC-STAR★1への適合が求められる。対象機器について、太陽光はPCSが明確に限定されているのに対し、蓄電池は「通信機能を有する制御システム(PCS、EMS、BMS等)」が対象とされており、複数の制御レイヤーにまたがる機器が包括的に要件の対象となっている。
20年間にわたって容量収入 of 予見可能性を得られる本オークションへの参加が、JC-STAR★1なしでは難しくなったことによる影響は大きい。
蓄電池補助金も
JC-STAR重視へ
系統用蓄電池の導入を支援する補助制度は単一ではなく、経済産業省が所管する「再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池電力貯蔵システム導入支援事業」をはじめ、再エネ併設型やディマンドレスポンス関連を含め複数存在する。
これらのうち、系統用蓄電池を対象とする主要な補助事業においては、BMS、PCS、EMS等の構成機器について、JC-STAR★1の適合ラベルの提出が求められる設計となっていく可能性が高い。
DATA
取材・文/廣町公則







