パネル増設に敷地は不要!? 売電益UPの新工法!
2016/09/12
太陽光発電総合企業のエクソルが、稼働中の太陽光発電所にパネルを増設する新工法を発表した。発電所の敷地を拡げることなく、アレイの数を増やすことができる業界初の改修・増設システムだ。
アレイとアレイを近づけて
新たなスペースを創出
新工法の名称は、X-large(エクスラージ)。稼働中の太陽光発電所だけをターゲットにした、改修・増設のためのオリジナル工法だ。エクソルは9月2日、東京都内で会見を開き、全容を明らかにした。その仕組みは、これまでにない大胆な発想によるものだった。
一言でいえば、アレイとアレイの間隔を詰めて、空いたスペースに新たなアレイを設置しようというもの。まず、既存の架台を基礎から分離して、新たに設置した特殊レールに載せる。そして、レールの上のアレイを少しずつスライドさせ、アレイとアレイを近づけていく。そうすることで、太陽光発電所の限られた敷地内に、太陽電池モジュールを増設するためのスペースを生み出していく。
出典:エクソル
総発電量の最大化を重視
FIT買取価格は変更なし
従来の太陽光発電所は、影がかからないようにアレイの間隔を十分にとって設置されてきた。しかしX-largeでは、影がかかることを前提に、アレイの間隔を詰めてしまう。影による発電ロスが気になるところだが、エクソルによると、モジュール増設による総発電量の増加は影によるロスを補って余りあるものだという。一年を通した影のかかり方をシミュレーションして、総発電量の最大化を図っていく。
X-largeでは、パワーコンディショナの容量は変えない。このため、モジュールを増設しても「軽微変更届」を出すだけで済み、FITの「変更認定」を受ける必要がない。従って、kWhあたりの買取価格が変わってしまうこともない。総発電量が増えた分だけ売電収益が増加するので、ほとんどの場合、「X-largeにかかった費用は数年で回収できる」(鈴木伸一代表取締役社長)ということだ。
なお、パワーコンディショナの容量を変えずにモジュールだけを増設すれば、ピークカットによる発電ロスは増えてくる。しかし、通年の発電量とのバランスを考えた最適なシミュレーション設計により、ロスを最小限に留めることはできる。一方で、よりフラットに近い発電カーブを実現することができるので、需給バランスの制御が行いやすくなるというメリットもある。
X-large の意義を語る、エクソルの鈴木伸一代表取締役社長