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再エネとSDGsの時代が到来! 『地域の価値を本当に高める方法』(後編)

気候変動や脱炭素社会の実現に対する動きが高まり、再エネ電源に新しい価値が見出されている。再エネ電力が価値を持つ時代には、地域とともに歩む地域新電力や自治体新電力が、地域の価値を上げるための重要なプレーヤーとなる可能性を秘めている。エネルギージャーナリストの北村和也氏が地域の価値の本質を解く、好評の連載コラム第12回(後編)。

地域活性化の本質は「地域の価値を上げること」であると前回のコラムでは書いた。価値上昇に寄与するツールとして、RE100やRE Actionが使えることを具体的にお話ししたつもりである。例として、RE100の中小企業や自治体版である「RE Action」に地元企業や自治体に参加することで、地域へのメリットが生まれることを取り上げた。地元企業がRE100企業のサプライチェーンに入ったり、再エネを求める企業がRE Actionに参加する自治体にやってきたり、という可能性は決して小さくない。税金や地代、光熱費の減免だけで企業誘致をしていた時代はいずれ過去のものとなるかもしれない。



上昇する再エネ電源の価値と気候危機

日本でも電力の小売り自由化がスタートした時、「電気には色がついていない」から1円でも安い電気を提供できるところが有利だと言われた。実際に、安売り合戦が始まり、競争に敗れ倒れた新電力も少なくない。

ところが、ここにきて「どの電気も価値が同じ」というテーゼは崩れてきている。筆者が考える価値の違いは2つあり、『再エネの価値』と『エネルギー地産の価値』である。ここでは、前者の再エネ価値を取り上げる。

再エネ価値を押し上げたのは、なんといっても二酸化炭素の排出削減の必要性である。京都議定書から目に見え始めた温暖化防止の動きは、パリ協定のスピーディな発効で喫緊の課題と変わった。世界中で頻発する災害は、待ったなしという状況判断に誰も反論できない証拠となっている。

ところが、“環境を守るのはいいことだ”程度の努力目標でお茶を濁していた多くの大人たちに対して、16歳のグレタさんをシンボルに反旗を翻した若者たちの温暖化防止要求デモは数百万人規模が当たり前になった。

残念ながら、その中で最も能天気な国の一つが日本である。いまだに石炭火力発電を捨てないと宣する日本政府の言動は、もはや蛮勇か、笑い話の域に達している。

石炭火力発電は、近い将来に設備利用率が格段に落ちて事業性を失うことになる。石炭ビジネスに融資することは大きなリスクと世界の金融機関は考えている。誰も石炭に関連する事業にお金を貸さなくなるのである。決して倫理観をベースとした動きだけでなく、現実的な投資判断ということを忘れてはならない。

気候変動はすでに「気候危機」と呼ばれるようになった。危機の回避策の筆頭が再エネの拡大である。このことから、次の新しいテーゼが導き出される。「再エネ発電による電気は、石炭由来の電気に比べ、はるかに高い価値を持つ」である。

再エネの高い価値を巡る新しい動き

再エネ電源に価値があることがわかると、それを増やしたり活用したりする動きが出てくる。RE100やRE Actionは、形にしてグループ化したものだと言える。同時に、新しい価値の出現は新規ビジネスを生む。

例えば、FIT制度を使わない再エネ発電を行うFTTファシリティーズは、再エネ電力供給を将来の重要な事業と考えている。再エネ価値分があるからその分高くても売れる、もしくは売れるようになると計算したからこのビジネスに踏み込んだのである。

実際に、RE100企業のイオンとイオンモールでのPPA(再エネの)電力供給契約を展開している。

一方、再エネ電力を調達して需要先へとハンドリングしたり、再エネの証書を扱ったりすることのできる新電力も、重要性を増してくる。ここが大きなポイントで、新電力が電気を小売りするだけのものだと考えているとこの新しいビジネスに気づきにくい。

ただし、再エネは分散型のエネルギーであるから、地域に根差していない中途半端な新電力はこの新事業への適応力が低いかもしれない。

再エネ電力が価値を持つ時代には、地域とともに歩む地域新電力や自治体新電力が地域の価値を上げるための重要なプレーヤーとなる可能性が高いことを忘れないで欲しい。



SDGsは何のために取り組むのか

企業や自治体の中で最も流行っている国際的な取り組みはSDGsであろう。日頃多くの人と会う機会があるが、そのスーツやジャケットの襟に彩り豊かな円形のバッジを見ない日はない。また、私へ舞い込む講演やセミナーでは、必ずと言っていいほどSDGsを取り上げるよう頼まれる。

ところが流行とは裏腹に、SDGsに取り組む意味を理解していない自治体や企業が少なくない気がする。

SDGsはご存知のように2015年の国連サミットで提唱された持続可能な世界実現に向けた国際的な目標である。日本政府も本部を立ち上げて積極的な姿勢を見せ、自治体に具体的なプラン作りを要求している。ここまでは良いのだが、現場に降りてきた時点でなぜか「やらされ感」が漂う。上から一方的にやれと言われる多くの施策の1つに紛れてしまうのかもしれない。

国連で決められたSDGsではあるが、その主要コンセプトのひとつは、「だれ一人取り残さない、(leave no one behind)」である。発展途上、先進国の区別のない普遍的な目標の実現にある。17のターゲットのどれを取り上げるかではなく、すべての実現を目指すのである。それも地球上のすべての人に対して。

SDGsと地域の価値

化石燃料、特に石炭関連エネルギー企業に対しての融資は、今後決定的に困難になる。同様に、世界の金融はSDGsにまじめに取り組まない企業を「融資対象が困難な団体」にカテゴリー分けする時代になってきている。主要企業がSDGsの取り組みを懸命に始めた背景をたどっていけば、RE100やRE Actionに参加しないリスクと同じ理由にたどり着くであろう。SDGsに取り組まない企業の未来は不透明である。

自治体をみてみよう。SDGsの目的を、このコラムのテーマである「地域の価値を上げること」と合わせて冷静に考えればよい。17のゴールは、誰ひとり例外なく達成されるものとして設定されている。すべての人が貧困や飢餓の恐れなく、健康的で豊かな生活を平等かつ平和の中で達成される場所が保証されるとすれば、それは高い価値を持つ地域の実現ということになる。自治体の目標は様々あるかもしれないが、このSDGsを実現した地域こそが、誰もが住みたい究極の地域だということではないだろうか。



どうやってSDGsのターゲットを達成するのか

では、どうやってSDGsを実現させるのだろうか。

その答えは、SDGsのゴールの中にある。

17番目のゴールが「実施手段」であり、「パートナーシップで目標を達成しよう」と書かれている。SDGsは世界の目標であるが、実現は個々の地域の積み重ねでしかない。自治体は実施主体であるが、単独では限界がある。そこで地元の企業や団体のサポートが必須になる。

SDGs実現支援の筆頭に挙げるのが、地域新電力、または自治体新電力であると筆者は考えている。安売り合戦に明け暮れる旧態依然とした新電力ではなく、地域の価値を上げることのできる新電力である。

私が一部でお手伝いしているある自治体は、自ら掲げたSDGsの実現のツールとして自治体新電力を立ち上げようとしている。新しい価値の時代に求められるのは、地域の価値を高めることのできるまさにニュータイプの地域、自治体新電力なのである。

プロフィール

エネルギージャーナリスト。日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表。

北村和也

エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。
日本再生可能エネルギー総合研究所公式ホームページ

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